ガーネット、スペサルティン(アフリカ、産地詳細不明、おそらく非加熱・非処理)
ガーネット、といえば赤、石炭を燃やしたような色合いの、その名も炎に由来する
パイロープ・ガーネットを連想しますが、こんなかわいらしいオレンジ色のものも
あります。
商業名はマンダリン・ガーネット。マンダリン・オレンジの鮮やかな色合いがその名
の由来。マンダリン・オレンジは馴染み深い温州ミカンのご先祖様、親しみやすい
雰囲気はそのせいでしょうか。
ブランドとしてはナミビア産の物を指しますが、色合いを表す言葉としても使われて
います。
画像の石も産地の詳細は不明ですが”マンダリン・ガーネット”の名前で販売されて
いました。

ガーネットにはこのほかに、パイロープに似て暗さを含んだ赤のアルマンデインや、
紫がかったロードライト、緑色のグロシュラー(商業名ツァボライト)やデマントイド、
黄色味のかかったヘソナイトなどもあります。


「ブルー・カーバンクル」の正体について

世界でもっとも有名な探偵、シャーロック・ホームズの活躍するシリーズの一遍に、
「The Adventure of the Blue Carbuncle」があります。
クリスマスのお祝いのガチョウが、呼び名の付くほど高価な宝石を飲み込んでいた
という事件が描かれているのですが、盗品の宝石をめぐるホームズとワトソンの
活躍はさておき、ホームズファンだけでなく石好きの間でも、クリスマスが近付くと
必ずといっていいほど話題になるのが、この宝石が何か、という謎です。
というのも、"Blue Carbuncle"のカーバンクルとは、「赤い色合いの宝石」を表し、
大体においてルビーかガーネットに対して使われていた言葉なのですが、これが
ルビーだとすると「青いルビー=サファイア」となってしまい、珍しくもなんともなく
なってしまうし、一方、自然界には青いガーネットは存在しないのでこちらも妙な事
になってしまう。
鉱物学者、堀秀道さんは著書、「宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか」の中で、
ホームズが「40グレーンの炭素の結晶」とこの石を語っているため、ダイヤモンド
である、とあっさり解説しておられます。

私もこの石はダイヤモンドではないかと思います。というのは、コナン・ドイルは
石には素人ですし、その作風も雰囲気優先で緻密な構成や知識は後回し(だから
物語として面白いのですが)、この作品でも鉱物学的な講釈はでたらめです。
そこで私は、そんな部分を基に考えるのはやめてしまって、「雰囲気優先の作風」
の部分で考えるとどうだろう、と思うのです。
「カーバンクル」という言葉にはもう一つ、南米にいると信じられた謎の生き物、と
言う意味もあり、こちらの意味の方を優先するならば「幻の石、伝説の宝石」の表現
としてカーバンクルを用いた、という事も考えられます。
ダイヤモンドが炭素の塊である事は当時すでによく知られていたわけですから、
「40グレーンの炭素の結晶」である「幻の石、伝説の宝石」ということならば、答えは
ブルー・ダイヤモンド、だと思うのです。
ただでさえ稀産のブルー・ダイヤモンド、その中でも名前がつくほどの石はまず還流品
で、一流のオークションでしかお目にかかれず、億単位のお値段。これならばホームズ
の事件簿に記されるにふさわしい逸品ではないでしょうか。

サザビーズに出品されたブルー・ダイヤモンド http://weblog.gem-land.com/?p=346


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